断熱リフォームは「何からやるか」で結果が変わる

「古い家が寒いのは仕方ない。」
「建て替えは高いけど、リフォームなら何とかなるかもしれない。」
断熱リフォームのご相談を受けていると、こうした声をよく耳にします。
一方で、世の中には実際に工事をしたあとに
「思ったほど暖かくならなかった。」
「お金をかけた割に、変化が小さい。」
と感じてしまうケースがあるのも事実です。
その多くの原因は、断熱の性能そのものではなく「優先順位」にあります。
なぜ断熱リフォームは失敗したと感じやすいのか
断熱リフォームでは、
「予算が限られているけど、少しずつ全体を触ろう。」
という判断をされることがあります。
しかし、少ない予算で
・ 壁を少し
・床を少し
・天井を少し
と“満遍なく”断熱してしまうと、体感としての変化が出にくくなります。
断熱は順番が大事。
優先順位を間違えると、きちんと工事をしても
「こんなものか。」と感じてしまうのです。
断熱リフォームには「考え方の型」がある
私たちが参考にしている考え方のひとつに、暮らし創造研究会 が提唱している段階的な断熱の優先順位があります。
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代表的なのが、次の考え方です。
・1階の窓
・1階の窓+1階の床
・1階と2階の窓+1階の床+2階の天井
・1階と2階の窓+1階の床+2階の天井+1階と2階の外壁
正直に言うと、
「窓の次は床、その次は天井」という順番は、私自身も最初は意識していませんでした。
しかし、理屈と現場を照らし合わせると確かにこの順番は理にかなっていると感じています。
窓はもっとも熱の出入りが多いので、まずは窓の断熱が効果的。
次に人が常に触れている床の断熱。その次に夏に屋根からの日射熱を防ぐ効果もある2階の天井を断熱。
最後にもっとも面積が大きく、コストも掛かりやすい外壁の断熱。
とはいえ、もう少し予算を抑えたい方は、1部屋単位での断熱もおすすめです。
その際もまず窓の断熱化から行なうのが効果的です。
1部屋単位でも優先順位を考えて断熱していくことが大切だと考えています。
佐藤工務店で多い「予算別」の断熱リフォーム
15~100万円:窓リノベ
一番多いご相談がこの価格帯です。
冷気や隙間風の多くは窓から入ってきます。
まずは窓を変えるだけでも
・暖房の効きが良くなる。
・窓際の寒さが和らぐ。
といった変化は十分に感じられます。
実際のお声としては、「内窓を付けたら、全然違う。」、「変わったのが分かる。」と効果を実感し、満足して頂いていると感想を頂いています。
「まずはここから」という意味で、窓リノベはとても合理的な選択です。
価格の幅は窓の大きさや窓の数によるものです。
まずは、人が長く過ごし、暖房の削減効果も期待できる居間など、次に健康リスクのある水回りなど、ライフスタイルやご予算に合わせて選択していくのもおすすめです。
150~300万円:1部屋だけの断熱リフォーム
「家全体は無理でも、この部屋だけは暖かくしたい」
そんなご要望に応えるのが、1部屋断熱です。
居間のように使う時間が長い部屋をピンポイントで改善することで、生活の満足度は大きく変わります。
ただし、この場合も
「ただ断熱材を入れる」だけでは不十分です。
周囲との取り合いを考え、ある程度の気密を意識しないと、効果は限定的になってしまいます。
1000万円以上:カバー工法による断熱リフォーム

家全体をある程度暖かくしたい場合、外壁材を剥がさずに断熱材を張るカバー工法による断熱リフォームという選択肢があります。
構造を大きく壊さずに性能を引き上げられるため、建て替えよりコストを抑えながら全体の快適性を高めることができます。
ただ、カバー工法を行なえる住宅には条件があるので、事前にお住まいを診断させて頂く必要があります。
それ以上の価格帯:外張り断熱・スケルトンリフォーム


既存の外壁材を剥がしたうえで断熱材を張る外張り断熱、骨組みだけ残して解体した後にリフォームを行なうスケルトンリフォーム。
性能面では、新築に近い、場合によっては新築以上を目指すことも可能です。
ただし、ここまで来ると資金計画と目的の整理が非常に重要になります。
「全体を暖かくしたい人」と「この部屋だけの人」
断熱リフォームには、大きく2つの考え方があります。
・家全体を、段階的に暖かくしたい
・特定の部屋だけを、確実に暖かくしたい
前者の場合は
「窓 → 床 → 天井 → 全体」という積み上げ型。
後者の場合は
「窓 → 1部屋断熱 → 必要なら次へ」というピンポイント型。
どちらが正解ということではなく、暮らし方と予算で選ぶべき道が違うというだけです。
断熱リフォームは「考え方」と「優先順位」
断熱リフォームで本当に大切なのは、
・何を優先するか
・どこにお金をかけるか
・どこは割り切るか
を整理することです。
気密を取ろうとすれば手間が掛かります。
手間が掛かれば、当然コストも上がります。
だからといって、ほどほどで止めていては効果を実感できません。
だからこそ、限られた予算をどこに配分するかが重要になります。
予算が少なくても、断熱は始められる
断熱リフォームは
「まとまったお金がないとできない工事」ではありません。
部分的でも、段階的でも、正しい順番で行えば、暮らしは確実に変わります。
「うちはどこからやるのがいいんだろう?」
そう感じたら、工事を前提にしなくても構いません。
まずはご相談やお住まいの診断からで大丈夫です。
ご予算と暮らし方に合わせて、無理のない断熱の考え方をご提案します。