数値で見る「家の寒さ」の正体と、断熱性能の差

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数値で見る「家の寒さ」の正体と、断熱性能の差

2026年1月下旬、朝8時30分ごろ。
栗原市内の築50年ほどの住宅を訪問した際、玄関の屋内に置かれていたバケツの水が凍っていました。

 

屋外ではありません。
玄関の中です。

 

当日の外気温は、下記の写真の通り氷点下
「寒い朝だった」で済ませてしまえば、それまでの話ですが、 今回は室内の温度・住宅性能の数値をあわせて確認できたことで、 “住宅性能と室温の関係”がはっきり見えてきました。

 

この記事では、
・実際の気温
・住宅性能(Q値・Ua値)
・最低室温
をもとに、家の寒さの正体を整理していきます。

 

 

1月26日の外気温

玄関で水が凍る家は、何が起きているのか

まず前提として、水が凍るということは、その空間が0℃以下になった、もしくはそれに近い環境だった可能性が高いということです。

 

今回の住宅は、

・築50年頃
・無断熱(築50年頃の住宅なら一般的な仕様)
・玄関に暖房設備なし

という条件でした。

 

このような住宅では、 玄関・廊下・洗面所・トイレといった「非暖房室」が、特に外気温の影響を強く受けます。

そして重要なのは、寒いかどうかは「外気温」だけでは決まらないという点です。

 

 

数値で比較する2つの住宅の最低室温

今回、前述した築50年くらいの無断熱住宅とは別に条件の異なる2つの住宅で室温を確認できました。

 

 

①築20年 志波姫の住宅(Q値2.57)

築20年の住宅の室温

この住宅は築20年で当時の高気密高断熱の住宅でした。

 

Q値 2.57 W/(㎡/・K)
C値 0.79 c㎡/㎡

 

・リビング:ほぼ1日中エアコンによる暖房
・2階洋室:朝方にエアコンによる暖房をOFF
・洗面所:無暖房
・室温計測は午前8時40分

 

この住宅で確認できた最低室温は10.2℃でした。

暖房を入れている部屋があっても無暖房の空間はしっかり冷え込みます。

 

 

②築4年 築館の住宅(Ua値0.33、Q値1.09)

HEAT20 G2の住宅の室温

この住宅は築4年ほどの住宅です。

南側に建物があり、1階リビングへの日射は入りにくくなっています。

 

Ua値 0.33 W/(㎡/・K)
Q値 1.09 W/(㎡/・K)
C値 0.1 c㎡/㎡

 

・リビング・2階ホールにエアコンによる暖房
・おそらく夜に暖房OFF、朝にリビングの暖房ON
・室温計測は午前8時39分

 

この条件で確認できた最低室温は15.3℃でした。

暖房を切っていると思われる時間帯があるにもかかわらず、非暖房室の室温が高く保たれていることが分かります。

 

 

Q値・Ua値・C値が示しているもの

ここで、簡単に数値の意味を整理します。

Q値:家全体の熱の逃げやすさ(小さいほど良い)
Ua値:外皮(壁・屋根・床・窓)からの熱の逃げやすさ(小さいほど良い)
C値:床面積1㎡あたりの隙間の面積(小さいほど良い)

 

難しく聞こえるかもしれませんが、ポイントは一つです。

数値が良い家ほど、暖房を止めても「室温が下がりにくい」

 

築4年の住宅では、夜に暖房を切っても、朝の時点で15℃台を保っていました。

一方、断熱性能が低い住宅ほど、暖房をしていない空間が外気に引っ張られるように冷えていきます

 

 

断熱性能と冬期最低室温の関係

HEAT20の冬期の性能水準の提案には、断熱性能グレードと冬期最低室温がまとめられています。

 

それによると栗原市が分類されている4地域は下記の通りになります。

 

平成28年省エネ基準レベル(断熱等級4、Ua値0.75)
おおむね 8℃を下まわらない。
G1(Ua値0.46)
おおむね 10℃を下まわらない。
G2(断熱等級6、Ua値0.34)
おおむね 13℃を下まわらない。
G3(断熱等級7、Ua値0.23)
おおむね 15℃を下まわらない。

この表に上記2つの住宅の室温と断熱性能を比較してみます。

 

築20年 志波姫の住宅は断熱等級4を少し下回るくらいの性能で、最低室温は10.2℃でした。

築4年 築館の住宅は断熱等級6と同じくらいの性能で、最低室温は15.3℃でした。

 

今回の2つの実測値は、HEAT20の目標室温とほぼ一致していました。
HEAT20は机上の理論ではなく、実際の暮らしの中で起きている温度差を、かなり正確に表していると感じました。

断熱性能を高めることで変わるのは、「暖房している部屋」ではなく、「暖房していない時間と場所の温度」だと考えられます。

 

 

非暖房室の最低室温が暮らしを左右する

多くの方が注目するのは 「リビングが暖かいかどうか」ですが、実は暮らしやすさを左右するのは、非暖房室の最低室温です。

 

・玄関が冷え切っている。
・洗面所に行くのがつらい。
・トイレが寒い。
・朝、布団から出るのが苦痛。

 

こうした悩みは、暖房能力の問題ではなく、断熱性能の問題であることがほとんどです。

今回のように、玄関で水が凍るほどの環境では、ヒートショックのリスクも高まります。

 

 

断熱性能を高めると、何が変わるのか

断熱性能を高めることで変わるのは、

・室温の下がり方。
・非暖房室の寒さ。
・朝晩の体の負担。
・暖房に頼りきらない暮らし。

です。

 

「暖房を強くする」のではなく、暖房を止めても寒くなりにくい家、少ないエネルギーで温めることのできる家をつくる。

それが、断熱性能を考える本当の意味だと思っています。

 

 

「うちも当てはまるかも」と思った方へ

・冬、玄関や洗面所が極端に寒い。
・朝、室温が一気に下がる。
・暖房を止めるとすぐ寒くなる。
・古い家だから仕方ないと思っている。

こうした方は、一度、数値で確認する価値があります。

 

佐藤工務店では、家の状況やご予算に合わせて、断熱性能をどう考えるかを一緒に整理する 無料相談を行っています。

「いきなり工事」ではありません。まずは、今の家がどんな状態なのかを知ることから始めてみませんか。

お気軽にご相談ください。

 

 

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