みちのく風土館に感じた価値
こんにちは。佐藤工務店の佐藤博昭です。
2019年12月現在、「閉館中のみちのく風土館(栗原市栗駒)の今後の利用について市民から広く意見を集め、まとめ、栗原市に提案しよう。」というワークショップが地元商店街の有志の方々が中心になって12月13日~16日までの4日間行なわれました。
そのなかの1日、12月15日(日)には、設計者である建築家 阿部仁史氏をお招きし、講演をされたようです。
私も聞きたかったのですが、当日は弊社開催の「家づくり相談会」と重なり、相談会が終わってから向かったので、阿部氏はお帰りになった後でした。
講演は聞けませんでしたが、見学してきたところ、素直に良い建物だと感じたので、撮影してきた写真をもとに紹介させて頂きます。
建物の概要などについては、東北大学大学院の方がまとめたレポートがありました。とても良く調べられ、まとめられていたので。ぜひそちらも合わせて、ご覧になって頂けたらと思います。
いろいろ調べてみて、阿部氏はみちのく風土館の他にも、宮城スタジアムや宮城県の物件を数件ほど手掛けられていて、宮城県と縁のある方なのかな、と勝手に親近感を感じたのと同時に、すごい方の設計した建物が栗原市にあるということを再認識しました。
私が見てきたみちのく風土館と2つの椅子
みちのく風土館の中に入り、まず、木のパネルが多用させているのが目につきました。
良く見ると、住宅でも良く使われているシナ合板に色を塗ったものでした。
また、 階段手摺の上端、笠木と呼ばれる部分にも、おそらく住宅で良く使われる集成材が使われており、 一般的な材料を上手く使って、良く見せていたのは好感が持てましたし、木質感を出す際の参考になりました。
いつか、家づくりの中で、あの納まりを真似してみたいとも思いました。
写真には撮ってきませんでしたが、石蔵の内観、木を張った外壁なども良い雰囲気でした。
そして、何気なく置いてある椅子が北欧デンマーク家具の老舗インテリアブランド「フリッツ・ハンセン」 のセブンチェア、アントチェアでした。
この2つの椅子はデンマークの巨匠アルネ・ヤコブセンの代表作、名作の1つとされています。
阿部氏の好みのようですが、栗原市の1施設でこの2つの椅子をお目にかかれるとは思ってもいませんでした。
実際に見てきて、あの建物とあの椅子を眠らせておくのはもったいないと感じました。
価値の伝え方、ディスプレイの仕方などによって、たくさんの方が見に来るようなポテンシャルがあるのではないかと感じましたし、いろいろなことが出来る雰囲気を持った場所だと感じました。
また、似たような投稿をSNSでしたところ、 東北の工務店さん達から、このたくさんの椅子について、「もったいない。」、「なんとかできないの?」、「買い取れないの?」と声を掛けられましたし、私も同様の感想を持ちました。
現在、みちのく風土館は閉館されていますが、地元商店街の方々は利活用する方向で、栗原市に働きかけています。
建物やインテリア自体も価値のあるものですが、建物の価値を認め、住民主体で動きがあるということも価値のあることだと思いますし、継続して頂けたらと思っています。
私も建築に関連したことなどで何か出来ないものか、という気持ちになったので、協力させて頂きたいと考えています。